80后と残留孤児 |
ひとりは北京の女の子で、23歳。東京の某大学の大学院に進学することになり、先日再会したことは、すでにこのブログにも書きましたね。
もうひとり、つい最近来日したのは上海の男の子、20歳です。今年2月に上海で出会い、その優秀さ、思慮深さに舌を巻いたすばらしい学生でした。
1991年生まれ(!)ですから、正確には「90后(90年代生まれ)」です。
大学3年生の彼は今月、関西の大学の交換留学生となり、先週から新学期を迎えたと連絡がありました。
普通、交換留学生といえば「遊ぶ目的が半分」だと思いますが、理系の彼の場合は、来日前から専門科目の先生と連絡を取り、やる気満々。
今は毎週ゼミ1回とテスト3回があるそうで、毎日夜遅くまで勉強しているとのことでした。いやはや、すごい。
この学生とは2月に上海で食事をしたのですが、そのときに話題に上ったのが、残留孤児の波乱の半生を描いた山崎豊子の小説「大地の子」でした。
1991年に単行本化され、その後、NHKのドラマにもなったので、覚えている日本人は多いと思いますが、中国ではこの本は発行されていませんから、当然、彼は知りません。ただ、残留孤児の存在はうっすらと知っているようでした。
この小説はもちろん、日中の戦争による悲劇から生まれたもので、中国国内の暗部や、日本企業の中国進出の過程なども描かれています。
ですが、最も強く印象に残るのは、やはり中国と日本の両親の情愛。日中の歴史に翻弄された主人公(陸一心)の人生は、中国人にも日本人にも共感できる部分が多いはずです。
彼とその話をしたときの会話や情景が、私は心に残っていました。
そうしたことがあったので、彼が来日したこの機会に、文庫本全4巻をプレゼントしました。昨日、宅急便で送ったら、すぐにお礼の返事がありました。
外国人が日本語の小説を読むことは簡単なことではありませんが、彼ならきっと全部読んで、感想を送ってくれることでしょう。
名作からいい刺激を受けてくれるといいな、と老婆心ながら思っています。
ところで、1991年生まれと聞いて、(自分がすごい年寄りだと感じた)衝撃と同時に、もうひとつ思い出したことがあったのですが、長くなりましたので、その話はまたこの次に、書きますね。