2011年 11月 29日
感謝の気持ちを表すには? |
一昨日のことですが、大阪府知事、大阪市長のダブル選挙が行われ、大阪市長には橋下徹氏が当選しました。選挙戦終盤の熱気は、まさに「アジアの選挙」という雰囲気。その晩、テレビのニュースを見ていて、その圧勝ぶりに驚くとともに、いくつかのことを感じました。
まず、東京では、橋下氏が立候補した時点で、「橋下下ろし」とでもいえるような痛烈な個人批判が週刊誌で始まりました。橋下氏の出自に関する汚い内容です。私はこれで、橋下氏は劣勢に立ったと思っていましたが、実はそうではありませんでした。
大阪の友人は「あんなに個人批判をされている橋下さんを応援せなあかん」と言っていましたが、これはまさに「東京VS大阪」の構図であると思いました。
すべての週刊誌の本拠地は東京にあります。東京目線で地方の出来事をばっさばっさと斬りますが、地方の人からしてみれば「違う」と思うこと、反発することも多いでしょう。それに、あの記事は橋下氏個人の過失や悪事を暴いたものではありません。父親のことです。誰にだって、人には言えないこと、自分の努力では絶対変えられないことがあるのではないでしょうか。あの記事は結果的に、逆効果に働きました。
自民・民主・共産などが対立候補を応援していたことも、橋下氏には逆に有利に働いたようです。既成政党=東京、という目でも見られていたと思います。東京の報道では、そのことが全然感じられず、大新聞でさえ、橋下氏を下ろそうという雰囲気さえあったのです。でも、いざ蓋をあけてみたらこんな圧勝に!という感じで、東京と大阪の温度差を感じるとともに、マスコミはいい加減だなと思いました。(私もマスコミの一員ですが・・・)
もうひとつ、橋下氏の当選後の演説で、印象に残った場面がありました。ここからが今日の本題です。(前置きが長くなりました)
記者が「家族に対して」と聞いたとき、橋下氏は「妻と家族に感謝しています。とくに子どもは脅迫状も送られてきたのに、ここまで支えてくれてありがたかった」というような趣旨の内容を答えていました。
この「家族への感謝」という部分で、先日取材したある中国人教授との会話を思い出しました。
その中国人教授への取材は、「中国人と日本人との違い」というような内容だったのですが、中国人は家族(娘の夫など他人でも家族の一員になった人、従兄弟まで含む一族)には、わざわざ「ありがとう」など、感謝の言葉は言わない、という話でした。その理由は「家族なのだからやってあげる、やってもらうのは当たり前。口に出してお礼を言うことは水臭い」からです。
なるほど、確かに中国人が家族にお礼を言っている場面には、あまり出くわしたことがありません。それどころか、誰か(他人)にご馳走になっても、あまり「ごちそうさまでした」ということはありません。そもそも、ごちそうさま、に該当する言葉がありませんし!!
その教授によると、中国人に基本的に「割り勘」の概念はないし、どちらかがごちそうしても、お礼は言わないとのことでした。確かに私の経験上でもそうです。日本に長年住んでいる中国人は別ですけど、中国人にごちそうして、お礼を言われた経験はほぼありません。払うべき(立場)の人が払うのは、当たり前のことなのです。
話が脱線しましたが、日本では家族に対して、感謝の気持ちを口に出したり、家族と食事したあとも、「ごちそうさま」ということが多いと思います。(少なくとも私の周囲では)。先日、理想の夫婦といわれる三浦友和さんもテレビのインタビューで「夫婦がうまくいくには、感謝の言葉をきちんということ」とおっしゃっていましたが、日本では「親しき仲にも礼儀あり」という言葉もある通り、「ありがとう」は、内と外に関係なく、いや、身内だからこそ、わざわざ言うことが大事だと教えられます。
日本人は恋人にごちそうになっても「ごちそうさま」といいますよね。(たとえ口先だけでも)、そのことを教授に話したら、怪訝な顔をされました。(表面的に言っても意味がない、心がこもってない、ということかもしれません)
中国人の目から見れば理解しがたいこと、冷たい関係、親しくないんじゃないの?と映るのかもしれませんが、日中双方の文化を多少なりとも知る私には、どちらの「感謝の気持ちの表し方」もよくわかります。それぞれの文化背景があるからであって、どちらが正しいというわけではありません。
でも、橋下氏が家族への感謝の気持ちを恥ずかしがることなく言葉にした姿は、さわやかでした。あれほどひどい週刊誌のバッシングを受けた家族にとって、きっと、何よりもうれしい報いだったと思います。
まず、東京では、橋下氏が立候補した時点で、「橋下下ろし」とでもいえるような痛烈な個人批判が週刊誌で始まりました。橋下氏の出自に関する汚い内容です。私はこれで、橋下氏は劣勢に立ったと思っていましたが、実はそうではありませんでした。
大阪の友人は「あんなに個人批判をされている橋下さんを応援せなあかん」と言っていましたが、これはまさに「東京VS大阪」の構図であると思いました。
すべての週刊誌の本拠地は東京にあります。東京目線で地方の出来事をばっさばっさと斬りますが、地方の人からしてみれば「違う」と思うこと、反発することも多いでしょう。それに、あの記事は橋下氏個人の過失や悪事を暴いたものではありません。父親のことです。誰にだって、人には言えないこと、自分の努力では絶対変えられないことがあるのではないでしょうか。あの記事は結果的に、逆効果に働きました。
自民・民主・共産などが対立候補を応援していたことも、橋下氏には逆に有利に働いたようです。既成政党=東京、という目でも見られていたと思います。東京の報道では、そのことが全然感じられず、大新聞でさえ、橋下氏を下ろそうという雰囲気さえあったのです。でも、いざ蓋をあけてみたらこんな圧勝に!という感じで、東京と大阪の温度差を感じるとともに、マスコミはいい加減だなと思いました。(私もマスコミの一員ですが・・・)
もうひとつ、橋下氏の当選後の演説で、印象に残った場面がありました。ここからが今日の本題です。(前置きが長くなりました)
記者が「家族に対して」と聞いたとき、橋下氏は「妻と家族に感謝しています。とくに子どもは脅迫状も送られてきたのに、ここまで支えてくれてありがたかった」というような趣旨の内容を答えていました。
この「家族への感謝」という部分で、先日取材したある中国人教授との会話を思い出しました。
その中国人教授への取材は、「中国人と日本人との違い」というような内容だったのですが、中国人は家族(娘の夫など他人でも家族の一員になった人、従兄弟まで含む一族)には、わざわざ「ありがとう」など、感謝の言葉は言わない、という話でした。その理由は「家族なのだからやってあげる、やってもらうのは当たり前。口に出してお礼を言うことは水臭い」からです。
なるほど、確かに中国人が家族にお礼を言っている場面には、あまり出くわしたことがありません。それどころか、誰か(他人)にご馳走になっても、あまり「ごちそうさまでした」ということはありません。そもそも、ごちそうさま、に該当する言葉がありませんし!!
その教授によると、中国人に基本的に「割り勘」の概念はないし、どちらかがごちそうしても、お礼は言わないとのことでした。確かに私の経験上でもそうです。日本に長年住んでいる中国人は別ですけど、中国人にごちそうして、お礼を言われた経験はほぼありません。払うべき(立場)の人が払うのは、当たり前のことなのです。
話が脱線しましたが、日本では家族に対して、感謝の気持ちを口に出したり、家族と食事したあとも、「ごちそうさま」ということが多いと思います。(少なくとも私の周囲では)。先日、理想の夫婦といわれる三浦友和さんもテレビのインタビューで「夫婦がうまくいくには、感謝の言葉をきちんということ」とおっしゃっていましたが、日本では「親しき仲にも礼儀あり」という言葉もある通り、「ありがとう」は、内と外に関係なく、いや、身内だからこそ、わざわざ言うことが大事だと教えられます。
日本人は恋人にごちそうになっても「ごちそうさま」といいますよね。(たとえ口先だけでも)、そのことを教授に話したら、怪訝な顔をされました。(表面的に言っても意味がない、心がこもってない、ということかもしれません)
中国人の目から見れば理解しがたいこと、冷たい関係、親しくないんじゃないの?と映るのかもしれませんが、日中双方の文化を多少なりとも知る私には、どちらの「感謝の気持ちの表し方」もよくわかります。それぞれの文化背景があるからであって、どちらが正しいというわけではありません。
でも、橋下氏が家族への感謝の気持ちを恥ずかしがることなく言葉にした姿は、さわやかでした。あれほどひどい週刊誌のバッシングを受けた家族にとって、きっと、何よりもうれしい報いだったと思います。
by keinakaji
| 2011-11-29 10:03
| 中国