中国・新人類のオリンピック選手たち |
日本選手の活躍もすばらしいですが、やはり人口13億人の大国、中国は群を抜いていますね。あれだけの人口の中から、幼い頃に才能を見出して、国家が徹底的にエリート教育するのですから、当たり前といえば、当たり前ですが・・・・・。
卓球や体操など個人競技はとくに強いですが、今回、注目された選手のひとりに競泳の孫楊選手がいました。400m自由形で見事、金メダルを獲りましたね!
中国競泳男子で初の金メダルです。
金メダルを獲った瞬間に水面をバシャバシャとたたいて水しぶきをあげ、無邪気に喜んでいた選手、といえば、思い浮かぶでしょうか?
毎日新聞に彼のおもしろい記事が出ていました。一部、ご紹介しましょう。
孫楊選手は1991年生まれの、いわゆる「90后(ジウリンホウ)」。私の著書でも紹介しているように、自由奔放で伝統的な考えに縛られない、ネット世代だといわれています。
孫選手は杭州市の体育学校で頭角を現し、北京五輪は1500m自由形で8位。昨年の世界選手権では10年ぶりに1500mの世界記録を塗り替えて、中国競泳界のスターになりました。
彼の自信に満ちた大胆な物言いはメディアを話題をさらっています。
記者会見では「異端児のように言われていることをどう感じているか?」との問いかけに、こう答えました。
「確かに私たち90后は昔とは違う。持っている自信や信念、試合とかすべての場合でも。でも、僕は高飛車じゃないですよ」
孫選手には昨年、こんな出来事がありました。知らないうちに中国の飲料メーカーのイメージキャラクターにさせられて、その契約式に出席させられたと微博(中国版ツイッター)で暴露したのです。
中国国家体育総局が「ナショナルチームが宣伝活動に参加するのは義務だ」と強調したそうですが、孫選手は「僕にも知る権利がある。一部上層部のやり方はひどすぎる」と一蹴しました。
「追放されるのでは?」との心配をよそに「怖くない。アスリートは成績がすべて」と言ってのけたそうです。
選手の活躍が国威発揚や国の宣伝の道具に使われる中国ですが、孫選手のおじけづかない言動は、まさに「新・新人類」だと感じさせられます。
今後、台頭してくる00后(リンリンホウ)世代はもっとその傾向が強まるでしょう。
一方で、陸上競技で有名な劉翔選手は、残念ながら今回、棄権に終わりました。劉翔選手は80后(バーリンホウ)世代を代表する選手ですが、彼は金メダルの重圧に負けてしまったのでしょうか。
劉選手は1983年生まれ、孫選手は1991年生まれ。わずかの違いのように感じますが、猛スピードで経済発展を遂げる中国で、この8年の差は大きいといえます。
まだ伝統的な価値観にとらわれる傾向が少し残っている80后、より自由な考え方が広まっている90后。
国家のために金メダルを獲るのか? 自分流のスタイルを貫き、自分のために金メダルを獲るのか?
彼らが中国のマジョリティになったとき、中国人にとっての五輪も大きく変わるのかもしれません。