しっかり青春時代を過ごすということ(1) |
中学高校時代は柔道を、大学時代はラグビーを、現在はマラソンに挑戦しています。
ワイドショーでやっていましたが、中学時代の先生から「スーパーマンになれ」といわれたことが印象に残っているそうで、それを山中教授は「勉強だけではなく、いろいろなことに挑戦すること」だと、受け取ったそうです。
がり勉タイプではなく、スポーツもやり、友人との飲み会にも積極的に参加し、仲間を大切にする人間性が魅力ですね。
「じゃまなか」と呼ばれて挫折した経験などは、順天堂大学病院の天野篤教授にも通じるところがあります。
ずっと優等生ではなかったから、人のこころの痛みもよくわかるのでしょう。
こうした山中教授の経歴を聞くにつれ、思い出すのは、『中国人エリートたちとの違い』です。中国人エリートたちの取材をしていて驚くのは、彼らの多くには「青春時代がほとんどなかった」ということです。
中国ではクラブ活動はほとんどありません。多少の課外活動はありますけど、日本のようにスポーツ、文化、音楽など、各方面で本格的に行われているようなものではありません。
まして、「甲子園」(野球)とか「国立競技場」(サッカー)のような、プロの登竜門となるようなスポーツをアマチュアでやろうという発想もありません。
中国では、オリンピックに出るようなスポーツ選手は、国家から選ばれた人々であり、彼らは専門の学校に通って「使命」を背負ってスポーツをします。
プロになるような人材が、アマチュアの延長戦上で、自然発生的に生まれることはありません。
(余談ですが、これは政治にも言えることで、中国の政治家は二世だったり共産党青年団出身だったり、と、だいたい育っていくルート(コース)が見えていますが、日本では二世はあっても、それ以外にはコースがなく、せいぜいあるとすれば、松下政経塾くらいのもので、日本には優れた指導者を必然的に生んでいく、しっかりとした仕組みがないのです)
ですので、中国には、「仲間と一緒にスポーツができて楽しいな」とか、「来年は選手に選ばれたいな」とか、「クラブの帰りに、みんなで寄り道して買い食いして帰ろうか」といった、日本人なら誰もが経験したことのある、ありふれた学生生活のシチュエーションはないのです。
また、「メシのタネにもならないスポーツや音楽を、貴重な中学・高校時代にやって何になるのか?」 という考え方もあります。
ですので、中国人が日本の学校に転入すると、真っ先に驚くのが、この全国各地で盛んに行われているクラブ活動です。
勉強だけでも大変なのに、なんで放課後にクラブ活動をやるの?というわけです。でも、たいていの中国に住む中国人は、そんな日本のシステムを知りません。
(この話、つづく)